双子祭り2に投稿した作品でした(笑)イラストは12月のトップジャック。



今日は12月25日。所謂クリスマス。街中はあちこちに飾り付けられたクリスマスリースの光が溢れ、さながらお祭り騒ぎである。だが子供が出歩く時間はとうに過ぎている現在、今はカップル専用と化しているのではあるが。

そんな中を足早に駆ける子供が一人いた。

「輝ニ!」
呼び止められて振り向くと、曲がり角でおいでおいでをする兄、輝一がいた。




「・・・何もこんな苦労しないでもいいような気がするんだが・・・」
「そうか輝ニの家は大きいからなー。抜け出すの苦労した?」
「犬に見つからないようにするのがな。二階から飛び降りること自体は苦じゃないんだが・・・」
「・・・(輝ニの運動神経はどこから来たんだろう・・・)」

「どうしてこうして会うのは秘密なんだ?」

輝一のたっての願いでそういう取り決めにしたとはいえ、親に知られないようにとなるとそれなりに注意を払わねばならない。 特に家族全員で集まるのが掟のようなこのクリスマスにそれをするのは、とりわけ源家では至難の業である。クリスマスプレゼントと ケーキという大義名分があるだけに父も継母もここぞと ばかりに輝ニにかまうのだ。輝一のように夜出歩くと素直に言ったら何をどう心配されるかわかったもんじゃないし、 結局こっそり出かけるしかなかったのである。

「だって父さんは絶対面白くないし母さんは嬉しいより辛い方が大きいだろうしそっちの新しいお母さんに至っては言うこともないだろう?俺たち以外の人にとっては知って幸せになる話題じゃない。最悪会うのを止められるさ。」

そうきっぱり言う兄の目はどこか冷めていて、ダスクモンの体中にあった目玉たちを思い出させる。
紅くて、昏い、目。
凝視する弟の視線に気づいて、その色をかき消し笑う。

「俺は輝ニだけでいいんだよ。『家族』は俺と母さん、『兄弟』は俺と輝ニ、それだけでいいんだ。」

兄弟は家族じゃないのか?と聞くほど輝ニもヤボではない。輝一も輝ニも別々の「家族」という名のコロニーにいた。 輝一と輝ニが「兄弟」でも、それぞれのコロニーにとっては異物でしかない。
もっとも二人ともその「家族」に馴染んでいたとは言いがたい。輝一は母の姿を悲しむあまりに欠けた存在を渇望した末 憎悪を抱くようになったし、輝ニは輝ニでいきなり出来上がった完璧な家庭に戸惑うことしかできなかった。
今となっては昔の話。こぼれた水が元に戻らないように二つの「家族」が重なることはない・・・が、二人が兄弟でいる限り、 少なくとも繋がってはいる。それは、「あたたかい」事実だと思う。少なくとも輝ニには。

「俺も、兄さんがいればそれでいいかな・・・。」

ぽつりと呟いた途端、輝一は目を見張り、ついでがしっと手を握った。多分しっぽがあったら痛いくらいに振っている。
「ほんとかっ?ホントにそう思う?輝ニ!」
「俺は本当のことしか言わないっ!」
「輝ニーvv!」
感激を持て余して真正面から抱きつく兄に、思わず苦笑してしまう輝ニだったが。

「ちょっと待った兄さん。それで済ますためにわざわざこんな面倒な日に呼んだわけじゃないよな?」

忘れかけていたが今日はクリスマスなのである。クリスマスという行事をそれまで無視してた輝ニでも人並みに「相手 がいれば」やってみたいことというのはあるもので。

「勿論プレゼントは持ってきたvプレゼント交換はクリスマスの醍醐味らしいね。今まで一度もやったことないけど!」

とがさごそと包みを開けて出したものは、マフラーだった。しかも結構、長い。
「半分は母さんの手編みだよ。」
そう言ってくるっと輝ニの首にかけてやる。が、相当長くてかなり余る。
「もう半分は」
「ここまで長くしちゃったのは俺。・・・さすがに仕上げができなくて。」
手編みのマフラーをせっせと編む息子を実母がどう思ったかちょっと悩んだ瞬間に、兄はちゃっかり自分もマフラーに入れてしまった。
何となくこれが目的かとも思ったが、折角のクリスマスなのでかんべんしようと思った輝ニである。

「で、輝ニは」
「・・・」

差し出した箱の中身は手袋だった。輝ニのものとお揃いである。

「手編みじゃないけどな」
「でもお揃いだ。」

すぐ近くにある同じ顔を見合わせて、二人ともくすりと笑った。そのうち嬉しくて可笑しくて、声を上げて笑ってしまった。

「折角だから手を繋ごうか。」

兄の言葉に輝ニは笑顔で了解の意を示した。
何故ならそのために用意したようなものだったから。
兄がどこまで解って笑っているのか輝ニには判断がつかない。だがそれもいいだろうと一人ごちた。


・・・クリスマス、だから。
こんな便利な日があって本当によかった、と不謹慎にも感謝した双子たちだった。




余談だが輝ニの脱走は帰宅時にはバレていて源家は深夜から大騒ぎになったという。
ちなみにマフラーは長すぎて、結局輝ニの抱き枕になったとか。

イラストからのイメージ小説です。自分で書いて何ですが、手編みのマフラーを編む兄がマイヒット(笑)
勢いといえば勢いで書いたんですがそのワリには何とか形になったかなということで、ホント何て話の作りやすい日 だろうと思いますクリスマス。祝福の日っていうのはイイものですね。

ちなみに「兄さえいればいい」輝ニの台詞は枕詞の「家族、という点では」が抜けてます。ので拓也たちが 兄に劣るワケではないのでした。場の雰囲気で割愛したと思ってください。輝一と二人きりのときにそんな限定つけても 野暮なことくらい輝ニでもわかるということで。


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