・「続アースティアテレビ」のホームドラマの兄弟がくっついて家を出て一緒に暮らしている
・血縁と顔の相似が関係ないという滅茶苦茶な世界
・テレビ版は前世

そんな(色々と頭の痛い)設定で。

注意事項
・メテオザッパー習得直前戦での邪悪な笑いが頭を離れず、素朴に鬼畜な本性を持つアデューになってるので駄目な人は要リターン。
・なかなか液体飛び交ってるのでそんなの好みじゃない人も要リターン。





寝言





アデューの様子がおかしい。

普段なら無遠慮に触れてくる時、実際触れてこようとしているのに、途中で手を止める。
そしてすぐに何でもないとごにょごにょ言って目を逸らす。
それが何度か繰り返されると、元々気が短いガルデンは、すぐにキレてしまった。

「一体何なのだ!私が何かしたのか!」
「…別に何もしてない!」
「じゃあ何だ!その態度はっ!?」

ギリっと睨みつけると、また目を逸らす。だが、逸らしながらアデューがかすかに怒気を発しているのを見逃すガルデンではない。

「…ッ!もういい!」
話す気がないのなら、もう聞きはしないとばかりに背を向けた。
「…あ」
躊躇うような声が聞こえたが、そんなものに取り合うガルデンではない。


「…で、家庭内別居状態というわけかよ」
「キツい…キツすぎる…」

一か月以上、同一空間で一言たりとも喋らない状態に音をあげて実家でクダを巻いているアデューだった。
義弟同士の恋愛事情なんぞに関わりたくないサルトビだったが、顔を合わせたのが運のツキだと諦めるほかはない。

「ていってもなあ、実際何があったんだよ」
「いやそれがちょっと微妙で情けない理由で、言いにくいんだ…」
言いにくいながらも理由を説明すると、サルトビも難しい顔だ。
「確かにそれは男の器を問われるかもなー…それとも該当があるのか?あればお前が優位だけど」
「ないから困ってる…」
「当人に直接聞く…のは確かに躊躇するが…それしかないんじゃねーの」
「うう…」

しかしこれ以上はアデューの神経がもたないのだ。
家に戻るとガルデンがいたが、案の定完全無視の体勢だ。
「ガルデン!」
腕をつかんで強引に振り向かせると、キツい双眸が飛び込んできた。こんな場合でもその迫力ある美しさに見ほれる。…が、その迫力の矛先が自分である以上、のんびりとはしていられない。

「『シュテル』って、誰だ!?」
「は?」

全くの想定外の問いに、思わずガードが解ける。

「…誰だそれは」
「聞いてるのは俺!」
「…知らん!何故私が知っていると思うのだ!」

ただの顔見知り程度の人間をどれだけ思い浮かべても、該当する名前がない。
だが、どこか懐かしい名であることは確かで、それが微かに狼狽を産む。

「ね…」
「ね?」
言い淀むアデューに疑問を投げかける。怒っていたことはすっかり忘れていた。

「寝言で!お前がそいつ呼んでたんだよ!」
「な!?」

予想もしなかった反撃にガルデンが固まっているのにアデューは気づかない。
「あううー解ってるよ!寝言に文句言ったってしょーがないって事くらい!でも気になって気になって気になってる俺も情けなくてああーもう!」
ぐしゃぐしゃと頭を掻き毟るアデューを、やはり茫然とガルデンは見ている。
ガルデンの交友関係は全て把握してるつもりだったから、知らない名前は衝撃が大きかった。だから思わず…身辺調査をしてしまった。
結果は何も出てこず、ただ自分が疑いを持ったという事実だけが残った。いや…今も疑っているのだ。ガルデンの様子から、「シュテル」なる者と浮気してるなど欠片もありえないと確信できるのに、その疑念が抜けない棘のようにいつまでもうずく。

「情けないよなあ…って、おい?」
自分の弁明に手一杯だったアデューは、そこでようやくガルデンのただならぬ様子に気が付いた。
顔が真っ赤で涙がにじんでいる。思わず腕を延ばすと、素直にすがりついてきた。

「…情けなくなど…ない。私がお前の立場だったら…多分もっと荒れる…」

アデューの服をぎゅっと掴んでいるガルデンの手が、少し震えている。
「確かに…何故か懐かしい名前だと思う…だけど本当にそんな人物は知らない…!」
果たして自分がアデューの立場だったら、こんな言葉を信じるだろうか?それが怖くて、顔を上げられない。
そんなガルデンをぎゅっと抱きしめて、アデューが囁く。
「…信じるよ。疑って、悪かったな…」

ガルデンは嘘はつかない。というより、誤魔化すという思考が基本的にない。アデューとは別の意味で率直な性質なのだ。伊達に長年兄弟やってない。

「そういう事情なら、謝るのは私だろう…」
「いやお前寝てたんだし。責任能力ないって」

ここまで落ち込むのは予想外だったので、かなりアデューとしては慌てていた。普段尊大な分、しおらしくなると可愛げと色気が凄い。
立ち直ってもらわないと、安心して一人で外に出せないのだ。

「いや…何か償わないと気がすまない。事情を知らないにしても、怒りすぎた…」
しゅんとなってるのが可愛いと萌えている場合ではない。
「だから別にお前は悪くないし…俺だって悪いし…事情知らないのは俺が話さなかったからだし…」
「私でもお前の立場なら素直には話せん…!どう考えても私に非がある!」
言いだしたら聞かないガルデンにオロオロしつつも、涙目で見上げてくるのに参ってしまいつつある。

「じ…じゃあ、俺を『愛してる』って言ってくれよ?!」
とっさに言った言葉に、ガルデンは目を白黒させる。
「そんなことでいいのか…?」
「そんなことってお前」
基本かつ最重要事項ではないかと思わずむっと来るアデューである。
「お前『大好き』とは言ってくれるけど『愛してる』は言わないだろ?」

…確かに、と考えて、その場面を連想して、ぽっと赤くなる。大抵真っ最中の最高潮の時に放つ言葉だ…
そしてアデューも同じ場面を思い出していた。

ふと、ある考えが浮かぶ。
謝られたことで優位に立ったと思えたせいか、悪戯心が芽生えたのだ。

じゃあ、とすうっと深呼吸して、ガルデンが言葉を発するべく口を開こうとした。
「…ア」
だがその続く言葉は、アデューによって文字通り飲み込まれていた。

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次はエロパートなので戻るなら今のうち。